スクリミンゴガイの対策について
スクミリンゴガイは、近年の温暖化傾向により、その個体数が増加し、適切な防除を講じなかった水田では、移植直後の苗が食害される被害が多く確認されています。
水稲栽培におけるスクミリンゴガイによる被害防止は、水田内とその用水路等における発生状況に応じた防除対策が必要であり、特に冬季の防除対策が有効です。
また、スクミリンゴガイは、一旦水田や用水路等に侵入すると、その根絶は非常に困難となることから、除草を目的とする放飼等、未発生地域への人為的な持ち込みを行わないことが必要です。
スクミリンゴガイの対策としては、下記の対策を講ずることが効果的です。
1.冬季の防除対策
(1)冬季の耕うん
冬季の耕うんは、スクミリンゴガイを物理的に破壊するほか、土の中にいる貝を掘り起こし、寒風にさらすことで殺貝することが可能。
【冬期の耕うんのポイント】
・破砕効果を高めるために、土壌水分が少なく田面が硬いときに耕うんする。効果を高めるには、トラクターの走行速度を遅く、PTO 回転を速く(ロータリーの回転を速く)し、土壌を細かく砕くように耕うんする。
・厳寒期(1~2月)に実施することで、土中にいる貝を掘り起こし、寒風にさらすことで殺貝効果を高めることが可能。
・食害能力の高い大型の個体ほど破砕されやすく、平均殻高20mm では一度の耕うんで約7割の貝を破砕できる。
・トラクターを移動させる際は、スクミリンゴガイを別のほ場に持ち込むのを防ぐために、爪やアタッチメントもよく洗う。
(2)水路の泥上げ
水路の泥上げは、泥の中にいる貝を寒風にさらし殺貝することが可能である。また、泥上げにより雑草が取り除かれることは翌年のスクミリンゴガイの餌をなくすことにつながる。
【水路の泥上げのポイント】
・局所的な取組では効果は限定的であり、地域全体で実施すると効果が高まる。
・労力がかかるため、条件により重機等を活用する。
・掘り上げた泥については、薄く広げて寒風にさらすとともに、泥の中に潜む個体を潰す。
・特定外来生物であるナガエツルノゲイトウが発生している地域においては、泥を介した本種のまん延を防ぐため、泥は適切に処分する。
2.除草目的のスクミリンゴガイの放飼
スクミリンゴガイは、水田の水口や水路を介した非人為的な広がりのほか、発生水田の泥が付着した農業用機械の移動や除草目的での放飼等の人為的な持ち込みによって侵入又はまん延し、一度侵入やまん延をするとその根絶は非常に困難となる。
スクミリンゴガイを放飼する行為が行われれば、その周辺の水田における水稲の被害の発生やその被害の拡大といった悪影響が避けられないことから、除草目的でスクミリンゴガイを放飼することのリスクを考慮し、放飼しない栽培を実施する。